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山口地方裁判所 昭和60年(わ)208号 判決

本店の所在地

山口県下関市彦島西山町四丁目一三番三三号

前田海産株式会社

右代表者

同市向洋町一丁目一五番四四号

前田一男

本籍

山口県下関市本町三丁目六〇五番地

住所

同市向洋町一丁目一五番四四号

会社役員

前田一男

大正一三年一二月七日生

右両名に対する法人税法違反各被告事件について、当裁判所は、検察官酒井徳矢出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告法人前田海産株式会社を罰金四〇〇〇万円に被告人前田一男を懲役一年六月にそれぞれ処する。

この裁判確定の日から、被告人前田一男に対し三年間、その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告法人前田海産株式会社は、山口県下関市彦島西山町四丁目一三番三三号に本店を置き、辛子漬明太子など食料品の加工販売等の事業営むもの、被告人前田一男は同会社の代表取締役としてその業務全般を統括しているものであるが、同被告人は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て

第一  昭和五七年一〇月一日から同五八年九月三〇日までの事業年度における所得金額が三億五三八六万一九三六円で、これに対する法人税額が一億四二七四万二三〇〇円であったにもかかわらず、原材料たな卸の一部を除外したり架空賃金を計上するなどの行為により所得を秘匿した上、同五八年一一月二九日下関市山の口町一番一八号所在の下関税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一億三四九四万六一五円でこれに対する法人税額は五〇八四万六八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により右事業年度の法人税額九一八九万五五〇〇円を免れ

第二  同五八年一〇月一日から同五九年九月三〇日までの事業年度における所得金額が一億三三七八万四八五二円でこれに対する法人税額が五三九二万一〇〇〇円であったにもかかわらず、前同様の行為により所得を秘匿した上、同五九年一一月三〇日前記下関税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四二六九万一八二円でこれに対する法人税額は一四五七万九四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出しもって不正の行為により右事業年度の法人税額三九三四万一六〇〇円を免れたものである。

(証拠の標目)

判示事実全部につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書

一  被告人に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一  前田登、宮瀬富成、曽根久一郎、安田三十郎、北島大丸、梅林優にの検察官に対する各供述調書

一  前田登、山村隆、宮瀬富成、青木義勝、丸山仁士、曽根久一郎、管原弘泰、藤沢徹に対する大蔵事務官の各質問てん末書

一  宮瀬富成、曽根久一郎、青木義勝、藤沢徹各作成の答申書

一  大蔵事務官各作成の期首・期末原材料棚卸高調査書、期末原材料棚卸高調査書、賃金調査書、雑収入調査書、退職金調査書、事業税及び未払事業税調査書

一  登記薄謄本

一  押収してある社内品入出庫台帳一綴(昭和六一年押第七号の一)社内品在庫帳一綴(同押号の二)、棚卸表一束(同押号の三)、同一綴(同押号の四)、売上伝票七枚(同押号の五)、出庫依頼書三枚(同押号の六)、マルゲンからの架空仕入分メモ一枚(同押号の七)、総勘定元帳二綴(同押号の八、九)、簿外在庫帳一綴(同押号の一〇)、表示ノート二冊(同押号の一一、一二)および仕入帳二冊(同押号の一三、一四)

判示第一の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(五八年度)

一  被告法人作成の法人税確定申告書(五八年度)謄本

判示第二の事実につき

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(五九年度)

一  被告法人作成の法人税確定申告書(五九年度)

(法令の適用)

被告人の判示各所為は、法人税法一五九条に、被告法人の判示各所為は、同法一六四条、一五九条にそれぞれ該当するところ、被告人前田一男につき各所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、被告人前田一男につぎ同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期および被告法人につき同法四八条二項により判示第一、第二の各罪所定の罰金の合算額の各範囲内で、被告法人を罰金四〇〇〇万円に、被告人を懲役一年六月にそれぞれ処し、情状を考慮し同法二五条一項によりこの裁判の確定した日から三年間右の懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 七沢章)

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